vol.20 七五三
◇2016年11月
3歳になったばかりの娘の、七五三のお祝い。
10月末、七五三写真の「前撮り」のために、テレビCMでもおなじみの写真スタジオへ。
お参りの日はバタバタしてゆっくり撮影できないので、別の日に前もって撮影を済ませる「前撮り」。
予約の時間に写真スタジオに着くと、まずは着替え。着物を着せてもらうのに、娘が大暴れして一苦労。スタッフの方と2人掛かりで、寝転がる娘を押さえつけながらなんとか着付ける。髪の毛はセットしてもらっても自分でぐちゃぐちゃにしてしまうので、ささっと整えてもらう程度に。
スタジオに入ると、若い女性カメラマンが慣れた様子で撮影を進める。
娘の目の前でおもちゃを振り回して気を引き、素早くカメラに戻って撮影、を繰り返していく。おもちゃで機嫌が直って多少笑顔になっても、「パシャリ」の瞬間にはおもちゃをさっと取られるのでまた涙…。
それが延々と繰り返されるので、私は「もう、おもちゃも写っていいですから!」と伝えた。結局、ぐずって暴れて着物の裾がはだけたまま情けない顔をしている娘の前に、積み木の箱が写っている、という見るたびに笑ってしまう写真になった。
かわいいドレスも(私が)着せたくて無理やり着替えさせてみたけれど、ぐずりが限界を超えた娘はそこでドレスのまま爆睡(笑)。
カメラマンさん、撮影用の大きなマットレスを出してきて娘を寝かせてくれて。水色のフリフリドレスを着て頭に大きなリボンをつけ、スヤスヤと天使の寝顔で眠る娘の周りには、お花と白くまのぬいぐるみ…。という、まさに眠り姫のような写真を撮ってくれた。
まさかの寝落ちも写真に活かす、さすがプロ!笑
11月のある週末、七五三参りの当日はじぃじとばぁばも大集合で、神社へ。
前撮りのことがあったので、着物でお参りなんて行けるのかと心配したけれど、当日は着物を着せてもらった自分を「かわいい♡」と自画自賛しながら抵抗なく着付けしてもらって。髪の毛も軽くカールしてセットしてもらえた。
神社での厳粛な雰囲気の祈祷は、大声を出さないかハラハラしながらもなんとかクリア。
お参りの後は食事に行って、娘は大好きなライスコロッケを山ほど食べて、大好きな「ハッピ~バ~スデ~♪」のお歌とケーキでお祝いしてもらって、嬉しい1日だった。
本人の成長スピードとは関係なく年齢で決まっている行事。
お姉ちゃんの3歳の七五三の時には、ノリノリでポーズをとっている笑顔の写真がたくさん撮れたのに…、と比べても仕方がない。泣き顔でヨレヨレの着物姿も、寝顔のドレス姿も、娘だから撮れた大切な写真。それはもちろん宝物なのだけれど、(7歳の七五三の時は、やっぱり笑顔の写真が撮れたらいいな)と密かに願った。
※このコラムは、西広島タイムス紙面に2019年から連載した内容を加筆・修正して掲載しています。
【 コラム作者 】
広島市在住の3児の母。
末娘が2歳のとき「結節性硬化症」という難病と診断される。
子どもの病気や障害と向き合いながら、子育てや仕事に毎日奮闘中。