広島市出身の作家・鈴木三重吉が書いた童話をまとめた「鈴木三重吉童話集」が2月20日、増刷されました。

鈴木三重吉は、明治〜昭和の文豪。子供向けの童話を中心に執筆したほか、児童雑誌「赤い鳥」を創刊し、後々著名となった作家を数々世に送り出しました。国語教科書で有名な「ごんぎつね」や芥川竜之介の「蜘蛛の糸」なども、初出は「赤い鳥」です。
この童話集は、広島市立中央図書館が収録する作品を選定し、現代仮名遣いに改めるなどの編集を行ったうえで、2024年に発行されました。挿絵と表紙絵は基町高校普通科創造表現コースの12名が担当。当時は300冊印刷され、広島市の公立学校へ配布されました。
そして今回、西区草津港にある企業「広島市流通センター㈱」が自社の創立50周年記念の社会貢献事業の一環として支援を行い、新しく750冊を重版しました。これらは予算の関係上前回配布できなかった、市内以外の中・高校に配布される予定です。

2月20日の寄贈式で墨田社長は「弊社の創業50周年を記念して、当期利益の約1%を社会貢献に使うことが決まり、どうしようかと考えている時にお声がけがありました。内容を読んでみましたが、今までの持っていた童話のイメージとは少し違うと思いました。生徒の絵も素晴らしいです」と話されました。同社はほかに、ドラゴンフライズへの寄付や、例年行っているコンベンションピューロへの寄付増額を行うそう。
中央図書館は以前から広島出身作家の初版本や自筆原稿などを収集しており、鈴木三重吉もその一人。長谷館長は鈴木の童話について「童話といっても子供におもねるわけではなく、世の不条理も含めた人の本質を捉えた作品が多い」と語り、「もっと広く子どもたちに読んでほしい」と話されました。
この「鈴木三重吉童話集」や、同館が収集した資料の一部は、オンラインアーカイブ化されており、ウェブ上でも見ることができます。
https://www.library.city.hiroshima.jp/akaitori
↑中央図書館の鈴木三重吉資料ページへと繋がります。
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