vol.17 一生のつきあい
◇2016年8月
てんかん発作時の脳波を調べるための脳波モニタリング入院検査を受けた娘。
3泊4日、コードに繋がれた状態でがんばって検査を受けた娘だったが、入院中に大きな発作はなく、残念ながら正確な検査結果は出なかった。
検査中に唯一出た小さなピクつき時の脳波から、てんかん発作ではない可能性がでてきて薬の増量は一時的に中止して様子を見ることに。ただ、その後もピクつきは増え続け、 結局薬を増やさざるを得なくなった。
薬の種類がまた一種類追加になり、これまでのものと合わせて3種類になっていた。
だんだんと一度に飲ませる量が多くなり、娘は相変わらず嫌がって毎回飲ませるのに一苦労。毎日朝晩薬を飲ませるのがしんどくなってきたこの頃、私は小児科の担当医師になんとなく聞いてみた。
「薬はいつまで飲み続けるようになるんでしょうかね…」
医師は言いづらそうに答えた。
「娘(の名前)ちゃんの場合は、脳に明らかに原因があっての発作なので、恐らく一生飲む ことになる…可能性が高いですね」
(…一生…‼)
私はショックを受けながらも、なるべく平静を装って答えた。
「そっか。そうですよね…」
難治性てんかん患者は、発症してから一生涯発作と付き合っていくことになることも多い。幼い頃発症すると、多くは知的な障害を伴い大人になっても日常生活に介助が必要になる。
この頃の私は目の前の検査や通院に必死で、そこまで想像がついていなかったのかもしれない。「一生」という言葉が重く響いた。
2歳の娘の知的な遅れは、進む可能性も、改善する可能性もあった。私には改善すると信じるしかなかった。効かない薬、止まらない発作がもどかしかった。
※このコラムは、西広島タイムス紙面に2019年から連載した内容を加筆・修正して掲載しています。
【 コラム作者 】
広島市在住の3児の母。
末娘が2歳のとき「結節性硬化症」という難病と診断される。
子どもの病気や障害と向き合いながら、子育てや仕事に毎日奮闘中。