「教育の質」
全国の学校でICT教育による単なる知識・技能だけではない未来を切り開くための資質や能力を伸ばす教育が行われています。特に今年はオンライン授業を行う学校が増え、報道でもオンライン授業を積極的に行っている学校が紹介されました。この春に休校が続き、小学校でもオンライン授業や授業動画配信を行いました。小学生はひとり学習になると授業に集中するのが難しいのですが、学習理解を図ることができました。それは、オンライン授業が良かったからではなく、家庭教育の質の高さがあったからです。親御さんが学校と同じように規則正しい生活を保ち、授業に向かう心と体を整えていたからこそです。オンライン授業について、「親も一緒に授業を受けて勉強しました。」「漢字はこうやって身につけていくんだとわかりました。」「英語の発音は難しいので繰り返し先生の発音を聞きました。」というように、親御さんの学校とともに教え育てる考えによって成り立ちました。授業で最も大事なことは、子どもの学びの姿です。目的をもって生き生きと学ぶ姿にするには、オンラインでも対面の授業でも、教育の質を問わなければなりません。
4年生の社会科の授業を見に行く機会がありました。学習課題は、レジ袋の有料化はSDGsにつながっているかというもの。17の目標を子どもにわかることばで説明した後、4つの資料が提示されました。国内のレジ袋の年間消費量とビニルなどのプラスチックごみが海の生き物に与える影響、レジ袋の原料、そして、世界で生産される食塩の多くはマイクロプラスチックが含まれていること、この4つの資料を読んで、レジ袋は17の目標のどれにつながるか考える授業でした。この授業で子どもは自分の生活と気候変動や健康が大きくかかわっていることを知りました。この学習は、5年生の食糧生産や工業生産、6年生の歴史や国際関係の学習で自分の生活と関連付けて考えるための、先を見すえた授業でした。単に食糧問題や環境問題を考える人ではなく、地球上の様々な問題を解決するために持続して複合的に手を打つ思考をする人にという願いを持った授業でした。
1年生の図工の授業で絵の具の3原色を使って色を作り、想像した花の絵を描く授業がありました。できあがった作品を見ると自分の色をめいめいが出しており、美しい色がそれぞれに見られました。翌朝、1年生に美しい色が出せたことを言ったところ、その子どもはうれしかったのでしょうか、担任の先生にこの話を伝えました。喜びを信頼する人に聞いてもらえば喜びは大きくなります。喜びを「良かったね。うれしいね。」と喜んでもらえるのですから。担任は、「ありがとうございますと言えましたか?」と続け、子どもは「あっ。」と言いました。言えなかったことに気づき、次は言いたいなと心に留めたようです。「あっ。」の気づきが子どもの成長になります。ここに、喜びだけで終わらせない教師の指導がありました。
教育の質を問うことを学校は続けなければなりません。社会に出て自立貢献する人を育てることを念頭におき、授業や生徒指導はこれで良かったのかと問い続けていきます。