廿日市市立佐伯中学校3年生が自衛隊員による防災出前講座を受講。自助・共助の意識を持って災害に備えよう
廿日市市立佐伯中学校(廿日市市津田)3年生50人が13日、自衛隊員による防災教育の出前講座を受けた。東日本大震災や西日本豪雨の災害派遣の様子を聞いたり、AEDの使い方や簡易担架搬送を体験したりして、自助・共助の意識を高めた。自衛隊車両の乗車体験もした。同校での自衛隊員の防災出前講座は初めて。
当日は、陸・海・空の自衛隊員10人が同校を訪れた。心肺蘇生法とAED操作の体験では、まず生徒ら一人ひとりが人形への心臓マッサージをした。生徒が人形の胸のあたりに両手を重ねると、隊員が「肘をしっかり伸ばして」と指導。生徒は力加減が分からず戸惑っていたが、カウントを取りながら必死に押していた。終わった後は「(人形が)硬かった」と友だちと話し、心臓マッサージに力を使うことを実感していた。その後、AED機器の模型で使い方を学んだ。
簡易担架搬送では、2本の棒と毛布など身近にあるものを使って、動くことのできない人を運ぶ方法を学んだ。生徒らは5〜6人のグループになり、用意されたタケと毛布で担架を作り一人ひとりを交代で乗せ約10m移動する練習に取り組んだ。女子生徒グループは作った担架に男性自衛隊員を乗せ、自分たちより重たい大人を運搬できることを体感していた。
講座を終えた生徒の伊藤千夏さんは、災害の最前線で働く自衛隊の話を直接聞き「テレビやネットでしか知らない自衛隊が身近になった。心肺蘇生法を体験したから、いざというときに動くことができると思う」と、共助の心が芽生えたようだ。
同校のある佐伯地域は、高齢者が多い。小田校長は「3年生には、自分の命を自分で守ることはもちろん、地域を守るリーダーとしての自覚を身に付けてほしい。助けてもらって当たり前ではない。誰かの役に立つことで自分の自信につながる」と、生徒の成長を期待する。
防衛省自衛隊広島地方協力本部広島地域事務所の太田英之所長は「大規模災害時に派遣された我々の経験・知見を市民に還元することで災害に備える意識を高め、市民が自分たちでできる減災に繋げてほしい」と願っていた。