有機農業の作物を活用した体験観光を構築・販売する、はつかいち有機農業推進プロジェクト「Bouno Grano(ボーノ・グラーノ)」が、廿日市市浅原の耕作放棄地で小麦の栽培に乗り出しました。同市の産業連携支援補助金を活用し、数年かけて小麦を使った商品やサービスを開発。10年後には、同市産の農作物として世界への展開を目指します。
メンバーは、有機農業を実践する有KINGの田丸稔久さん(48)、レストラン「Ristorante Thomas(リストランテトーマス)」を営む増本年治さん(43)、「食で地域を元気に」をテーマにカフェと広告企画制作会社「Picnic合同会社」を経営する大島久典さん(43)、里山生活を楽しむことをモットーにフリースクール「寺子屋洋燈(てらこやらんぷ)」を運営する藤井優さん(41)、医師で同市市議会議員の吉屋智晴さん(44)。同市のさまざまな分野で活躍するエキスパートが集まりました。
栽培する小麦は広島県が推奨している「キヌヒメ」と「ミナミノカオリ」の2種。荒れ放題だった耕作放棄地の整備や土壌検査を終え、広さ約3000㎡の畑に11月、種をまきました。
乾燥を好む小麦は湿害に弱く、土壌が湿り過ぎると赤かび病に感染するなど、無農薬で育てることは本来難しいそうです。田丸さんは「小麦の無農薬栽培は経験者たちからの心配や反対も多いが、有機農業で培ってきたノウハウや知識を生かしたい。プロジェクトには食育や地域の活性化に思い入れのある異業種が集まった。一人じゃできないことも、アイデアが浮かんだり、視野が広がったり。それぞれの得意分野を生かして取り組める」と、心強いメンバーを誇ります。
収穫は来年の5月〜6月ごろを予定。収穫後、およそ900㎏の小麦粉ができると見込んいます。
小麦粉は、増本さんと大島さんがレストランやカフェでピザ生地や料理に使い、来店客に振る舞う予定。また、子どもを対象にしたピザ作り体験での利用なども考えているそうです。増本さんは「自分たちがやっていることは無謀かもしれない。だけど挑戦しないと何も分からないし、無駄なことはない。小麦の栽培を通して、作るだけではなく伝えるまで責任を持ってやっていく。ゆくゆくは子どもたちにも農作業を体験して収穫の喜びを感じてもらえたら」と、今後の展開に胸を膨らませていました。
プロジェクトに関する問合は、広報担当の大島さん☎ 090-6477-5492。
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