ライター/Parade 仲尾 光平
「ひろしまクリエイター図鑑」と「西広島タイムスわくわく+」が、地元・広島のクリエイターを応援しようとコラボレーション。多彩な才能にあふれるクリエイターを連載でご紹介します。
ひろしまクリエイター vol.9
glouton(グルートン)
今回は、アクセサリー作家のgloutonさんの紹介です。
・真鍮に熱を与えて、叩いて曲げて…
・毎日つけても飽きないデザイン
そんなアクセサリーを主に製作しています。
小学生のころからモノ作りが好きで、段ボールでお家を作ってみたり、折り紙で生き物を折ってみたりと、工作が得意だったgloutonさん。
中学生のころの夢は美術スタッフ。フォークデュオ「ゆず」のステージを見たときに感銘を受け「いつかあんなステージを作るような仕事がしたい」と思ったそうです。
そんなgloutonさんは、高校進学後も製作する環境に身を置くこととなり、選択授業の被服コースで服や小物を作ることに没頭し、卒業後はファッションの専門学校に入学しました。その後、アパレルの販売経験を経て、アクセサリーショップに転職。
これが今のgloutonとしての活動の転機となります。
販売スタッフで就職したはずのアクセサリーショップである日、アクセサリーデザインの社内コンペが開かれたのです。アクセサリーデザインの経験は全くなかったものの、「面白そう!」とそのコンペに自作デザインを提出してみたところ、社内デザイナーの目に留まり製品化することに!
この時の「自分がデザインしたものが売れる」という体験が、今のアクセサリー作りの礎となったそうです。
アクセサリーショップを退職後、ゆっくり過ごそうと思っていた時に、専門学校時代の友人に誘われフリマに出店。パーツを組み合わせて作るアクセサリーを出品していたのですが、いつしか「gloutonオリジナルのパーツで作りたい」という思いが膨らみ、「ジュエリーよりもカジュアル、それでいて独自性が感じられ、一つ上の素材を」と、真鍮を扱うようになり、今のスタイルに行きついたそうです。
《作品紹介》
工房紹介
取材当日、gloutonさんの製作場所はレインボー倉庫広島(広島市西区商工センター)1階のカフェスペース。(カフェメニューのオーダーで利用できます)。
こだわりのアイテム
バーナーとリューター
《バーナー・大》真鍮を柔らかくするために、全体を熱するときに使用。
《バーナー・小》リングやブレスレットをつなげるときなど細かい部分を熱するのに使用。
《リューター》作業で最も長い時間使用するため、充電式ではなく、コンセントタイプを使用。切断部分やつなぎ目など、粗くなっている部分を削り滑らかにする。
製作中のおとも
スマホスタンドをテーブルに取り付けて、芸人「かまいたち」のYouTubeを見ているのだそう。「本当はお菓子をつまみながらというのもいいなと思うのですが、真鍮は過熱して、叩いて、曲げて、削ってなどの作業が入り、どうしても手が汚れがち。お菓子は終わった後のご褒美的な感覚で食べています」とのこと。
クリエイターからひとこと
真鍮はシンプルだけどアクセントになり、性別年齢問わず使いやすいアイテムです。しかも、真鍮は色が変わってしまっても、磨けば長く使うことができます。お気に入りの一点を見つけたら、クロスで磨いた後に食器用洗剤で洗うとピカピカになるんです!ちょっとした豆知識ですが、お家でも簡単に試すことができます。ぜひ長く真鍮を楽しんでくださいね。
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取材後記 〜案内人から〜
gloutonさんの真鍮アクセサリーの製作風景は、ひろしまクリエイター図鑑では珍しい「バーナー」を使って、金属(真鍮)を色が変わるほど熱し、加工していくという手法。テレビなどでは見ることがあっても、その加工方法は実際にお目にかかることがなかなかできないので、さながら「刀鍛冶」を連想させる光景でした。
最も印象に残ったのは、アクセサリーショップ勤務時代の「デザインコンペで自身のデザインが採用された」というお話です。 当時のgloutonさんは店頭での販売が業務なので、本来デザイン部門と交わることはありません。それでも、果敢にチャレンジし結果を残したことが、新しい知識や技術を身に着けるきっかけとなり、今のクリエイター活動の礎を築いたと思うと、「いつどんなところにチャンスやきっかけがあるのか分からない、言い換えると、チャンスやきっかけはいつでも近くにある」と感じました。それをつかむための「自分の行動一つ」が、こんなにも大事なのだなと教えられた気がしました。
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