vol.33 2回目の手術と療育手帳
◇2018年 夏
娘は保育園の年中さん。
前年の秋に受けた手術の効果でてんかん発作の回数は半分程になっていたけれど、だんだんと強い発作も増えていた。
「もう一度、外科的介入(手術)ができるか検査してみましょうか」
と、大学病院小児科の担当医師。
発作を緩和するためにできる手術がもう1つあることは分かっていたけれど、1回目の手術をしたら二年くらいは効果を検証するために様子を見ると聞いていた。
ー(昨年の手術では抑えられないと判断が出たってことか…)
私は複雑な気持ちになりながらも、症状が改善するなら、手術も含めて1番良い方法を選択する以外ないと思っていた。
その頃、娘の療育手帳の更新があった。
療育手帳は、発達の状態によって二、三年に1度、更新する必要がある。
更新手続きは広島市東区光町の広島市児童相談所に行かなければならない。児童相談所に来るのは、二年前に初めて療育手帳を取得した際に訪れたとき以来だった。建物の古さと暗さもあり、個人的にはなんとなく気が滅入ってしまう苦手な場所。
ただ実際行ってみると、療育手帳更新手続きは新規の取得よりスムーズなもので、本人への簡単な発達検査と私にいくつか日常の様子を質問される程度の内容だった。
療育手帳には、障害の程度によって4段階の判定がある。
二年前は1番軽い軽度知的障害( B )の判定だった娘。今回は2段階目の中度知的障害(Ⓑ)の判定だった。
4歳の娘の発達年齢(いわゆる「健常児」ではどのくらいの年齢に相当するか)は、まだ1歳台との診断だった。娘の場合、実年齢が上がっていくのに対して発達年齢はなかなか上がらないので、発達指数としては下がってしまい、障害の程度の判定も重くなっていく現実があった。
子どもの身体や脳が著しく発育・発達する期間は限られる。
思春期の頃までにどれくらいまで成長できるかが、大人になってどこまで自立した生活ができるかに大きく関わる。てんかんの発作は知的な発達を阻害してしまうので、少しでも早く発作を抑える必要があった。
なんとか発作を抑えるため、また新たな方法を探すことになった。
※このコラムは、西広島タイムス紙面に2019年から連載した内容を加筆・修正して掲載しています。
【 コラム作者 】
広島市在住の3児の母。
末娘が2歳のとき「結節性硬化症」という難病と診断される。
子どもの病気や障害と向き合いながら、子育てや仕事に毎日奮闘中。