宮島の伝建保存地区の指定受け 地元企業らで歴史的な町並み守る団体を発足
廿日市市宮島町の嚴島神社を囲む一帯が、伝統的建造物群保存地区に指定されたことを受け、「伝統的建造物群保存地区宮島工務店の会」(通称・伝建宮島工務店の会)が7月10日、発足した。建設業や左官業など地場企業を中心に構成。宮島の歴史的な町並みを守るため、伝統建築物に関する知識や技能の向上、職人の育成などを図る。
宮島町の同保存地区は、廿日市市が2019(令和元)年6月13日に指定した。同市によると、同町字中西町や桜町など嚴島神社を中心とした東西に広がる門前町。約16.8ヘクタールで、建物は約560棟。そのうち昭和20年代までに建てられ伝統的な特徴を持ち、保存に同意している建物が約130棟ある。今年5月には「伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持しているもの」として、国の文化審議会が重要伝統的建造物群保存地区に選定することを文部科学大臣に答申している。
同会は、宮島町や廿日市、地御前などの19社で構成。10日にあった第1回総会で、代表に(有)新竹建設の新竹俊文専務取締役、副代表には(有)宮島建設工業の山床昭美さんが就任した。
活動は大きく3つ。1つは、地元建築家などで構成し宮島の町並みを研究している「いつくしま・まちなみ研究会」と連携。建設技術の学習と研修を深める。2つ目は、歴史的建造物のデザインや素材、修復などの知識や技術の習熟。3つ目は職人の育成としている。
宮島町のetto宮島交流館で開かれた第1回総会には、会員ら24人が列席。宮島町総代会の正木文雄会長と、宮島観光協会の中村靖富満会長も来賓として出席。「神の島」としてのまちづくりや観光客のリピート向上などに期待を寄せ、会の発足を歓迎した。
新竹代表は「宮島の島民からしたら町並みは財産だと思う。工事に携わる者として、しっかり研鑽し守っていきたい」と話す。同会は、三年以内に一般社団法人を目標に据えている。
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