ライター/光井 祐子
広島市の平和記念公園から約5㎞南に位置し、広島港のある宇品海岸から陸続きになっている「宇品島」。島のおよそ西半分が瀬戸内海国立公園特別地域で「元宇品公園」となっています。
多くの人が活動する都市空間に国立公園が存在する事例は全国的にも珍しいそう。ちょっと息抜きをしたいときや自然を感じたいときの癒しスポットとしてお勧めです。
バイオトイレが設置された駐車場からスタート
宇品島内にあるグランドプリンスホテル広島からさらに奥の山道を進むと、元宇品公園無料駐車場に到着します。駐車場には環境にやさしいバイオトイレが設置されています。海岸まで少し歩くので、子どもはここでトイレを済ませておくと良さそうです。
海岸までの道中には、周辺で見ることのできる動植物を紹介した看板があります。元宇品公園はありのままの自然が残っている場所といわれており、クスノキやコジイ、カクレミノなど照葉樹の原生林が広がっています。
都市開発が進む前、日本の全土に照葉樹の森林が広がっていましたが、過度な森林伐採により照葉樹林が失われ、現在日本の総森林面積のたった1.2%程度しか残っていないそうです。その背景を考えると、元宇品公園のありのままの自然は「大切に残していかなければ」という気持ちになります。
原生林の自然を楽しみながら海岸までお散歩
駐車場から階段を下り海岸方向へ歩くと、樹齢数百年のクスノキの大樹と宇品灯台を見ることができます。物語に出てくるような大樹に子どもたちも驚きながら、非日常的な空間を楽しんでいました。
原生林内の遊歩道を歩きながら耳をすますと、波の音が聞こえてきます。スロープがなくベビーカーでの通行が困難なので、幼い子どもは抱っこするか、歩けるならお散歩して森林浴を楽しみましょう。
遊歩道を抜けて海が見える浜辺に出たとき、親も子どもも日常から解放されたようなすがすがしい気分になりました!
海を眺めると、似島や江田島、宮島などが浮かぶ瀬戸内海の景色を見渡せます。波打ち際で裸足になって駆け巡り、海藻を拾ったり、浜辺できれいな貝殻やシーグラスを拾ったりして、大人も子どもと一緒に楽しむことができます。
駐車場近くの宇品灯台も公園のシンボルとしての存在感を発揮していました。海岸沿いを歩くことができるので、海上を行き交う船を眺めながらウォーキングするのもお勧め。
岩場があるので、釣り人が多いスポットでもある元宇品公園。潮たまりもあり、小魚や小さな甲殻類など海中生物を観察できるので、バケツを持参する親子も見かけました。素足で歩くと磯に張り付いた貝類で足をけがしやすいので、海水にぬれても滑りにくい靴を履いて遊んでくださいね。
浜辺で集めたきれいな貝殻を持って帰って、親子で工作を楽しむこともできます。フォトフレームに貼ったり、瓶に詰めてインテリアにしたり、子どもの自由な発想を生かした創作ができるのも、自然遊びの良さだと感じました。
親も子も、日常からちょっと離れてリフレッシュできる元宇品公園。ぜひお散歩に行ってみてくださいね。
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