新年の目標と自ら学ぶ力
一年の計は元旦にあり、と言われます。新しい年を迎えた1月は気持ちが改まり、一年のめあてや計画を立てる絶好のときです。新年を迎えたとき、この一年の生活を考える良い機会にしてほしいと思います。
目標が決まったら、生活ノートに書かせます。生活ノートは毎日書きますから、いつでも目標を振り返ることができます。目標の立てっぱなしに終わらないために計画表を作り、毎日見えるところに張り出します。
目標と計画を立てた後は振り返りが肝心です。初めのうちは毎日保護者も一緒になって振り返ってやります。そのとき、何がどこまでできたのかがわかれば意欲が出ます。
そして、これからは何をどうしたいのか、頑張る筋道ができます。
一方、うまくいっていないことに気づけば、目標をもっと具体的にするとか、期間を短く区切るとか、目標や方法を修正します。目標にチャレンジし、達成するには自ら学ぶ力を育てなければなりません。
いつまでたっても親や教師に追い立てられてする子にしてはなりません。ここが肝心です。決して子どもを否定せず、一緒に考えて目標や方法を修正すれば確実に良くなります。
新年早々腹を立てていては子どものやる気を落とします。親や教師は、否定のことばが出そうになったら、「子ども自身が学ぶ力を」と心に言い聞かせます。すると、腹は立ちません。今の子どもの状況をつかみ、一緒に修正する気持ちになれます。
「今日できなかったところは明日追いつこう」「間違いが多かったけれどそんなことはたいしたことではない。今日は自分から取り掛かったのが良かった」と、肯定的な評価ができます。
また、「逆上がりは上達しなかったけれど自分でやり方を変えてみたのが良かった」「苦手な教科は大事なところを何度も読み返してからノートに整理しているから良い方法だと思う。しばらく続けてみたら」と学びを修正する力や学びを組み立てる力にかかわることばが出てくるようになります。子ども自身も、自分から目標や計画を立て、どうやればいいか判断し、行動を起こすようになります。
目標が家庭でやる内容であれば、親子ノートも効果的です。ときどき振り返り、目標達成に向けた行いを文字にして見せてやります。ここでもポイントは、「自分で考えてやった。」「前よりも良くなった。」と実感を持たせることです。
目標を考え、計画を立てて、行動し、振り返り、修正することは学ばせなければできません。この学び方を学ばせるのは学校の務めです。
チャレンジプロジェクトは、この自ら学ぶ力の育成を目指しています。
「私は高校生までずっと一日の計画表を作って勉強していました。計画表を作るとやる気が出て、寝る前に計画表を見るとやりきった達成感が湧いてくる」という卒業生がいました。
小学校では6年間かけて学びの方法を身につけさせていきます。それが基礎基本の力と相まって学力はついていきます。
子どもが自分をよりよく変えていくための営みは、子どもの学びの力となり、親にとっても教師にとっても楽しい、希望の持てる行いです。
《コラム「風のかたち」執筆者》
学校法人安田学園 安田小学校 前校長 新田哲之
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