vol.16 はじめての検査入院。
◇2016年8月
てんかんの発作を抑えるための薬を、調整しながら飲んでいたけれど、発作が完全にはなくならない娘。入院して発作時の脳波を検査し、発作タイプなど詳しく調べることになった。広大病院の小児病棟で、初めての入院。
脳波のモニタリング検査。
2泊3日の入院中、脳波を測る電極を頭に付けた状態で過ごし、発作時の脳波から発作のタイプを判断するための検査。この検査は個室でないと検査が難しいので、個室での入院だった。
部屋に入って落ち着くと、早速担当医師が来て検査用の装置の装着にかかる。元気すぎる娘はじっとしてくれるはずもないので、点滴のルートを取って眠くなるお薬を入れる。これで娘はいつも一瞬で眠りに落ちる。
検査は、何十本という電極を1本1本頭の定位置にペタペタと張り付けて、そのままでは外れてしまうので上から包帯をぐるぐる巻きにされ、「脳外帽」と言われる白い帽子をかぶせられる。まるで頭を大けがしたような姿になって、さらに後ろに伸びた色とりどりのコードの束をまとめて背中に養生テープで張り付けられ、ベッド横の機械に繋がっている。
この状態で、発作時の様子を逃さず記録するため24時間脳波の測定とビデオ撮影される。頭はぐるぐる巻き、コードの束が機械に繋がったこの状態でベッドの柵の中で3日をすごす…。
小児病棟にはプレイルームがあって、たくさんのおもちゃやDVDなどが揃っている。でもプレイルームを使用できるのは入院後一定期間を過ぎた子に限られる。これは免疫力が下がっている子を守るために大事なこと。
短期入院の場合プレイルームは入れないけれど、おもちゃやDVDを借りられるようになっている。私は娘が薬で眠っている間に大好きなお歌が流れるおもちゃを借りてきた。
目を覚ました娘は頭を気にしつつも意外と平気で、ニコニコ笑って楽しそうにおもちゃで遊んだり、歌に合わせてノリノリで飛び跳ねたりして過ごした。
私は娘がコードや機械を踏んづけて取れてしまわないかとハラハラしながら、狭いベッドの柵の中で娘と2人でほぼ1日中を過ごした。
しかし、発作時の脳波をとりたいのに、ほぼ毎日あった発作が2泊3日の間に1度も出ず!結局1日延ばして、なんとか最後の夜に1回軽い発作があり、4日目の朝に無事電極とビデオから解放された。
4日ぶりにぐるぐる巻きの包帯を取ってアフロヘアのように爆発した頭がかわいすぎて爆笑しつつ、久々のシャワーでさっぱりして朝ごはんを食べ、元気に退院したのだった。
※このコラムは、西広島タイムス紙面に2019年から連載した内容を加筆・修正して掲載しています。
【 コラム作者 】
広島市在住の3児の母。
末娘が2歳のとき「結節性硬化症」という難病と診断される。
子どもの病気や障害と向き合いながら、子育てや仕事に毎日奮闘中。