祝3大会連続五輪出場 山縣選手の「原点」広島JOC
地元広島市西区鈴が峰町出身の山縣亮太選手(29)が、東京オリンピック陸上男子100m代表入りを決めた。9秒95の日本記録を打ち立て、3大会連続出場となる東京五輪では日本人初の100m決勝進出も期待されている。山縣選手の陸上の原点ともいえるのが、地元西広島地区の陸上クラブ「広島ジュニアオリンピアクラブ」だ。小学校時代には全国大会にも出場した山縣選手を指導した当時、クラブの監督だった藤本法生会長に話を聞いてみた。
山縣選手が同クラブに入ったのは小学4年生。きっかけは、広島市であった同市スポーツ交歓大会。山縣選手は少年野球をしており陸上は未経験。藤本会長は「走りに力みがなく体がぶれず、将来絶対に強くなると思った」と振り返る。山縣選手をスカウト。後日、体験会に訪れた山縣選手は「楽しかった」と走る楽しさを知り入団したそうだ。同クラブは、世界陸上選手権の400mハードルで銅メダルを獲得した為末大さんも所属していた。藤本会長は「(山縣選手は)小柄だったが、教える前からフォームがきれいで光るものがあった」と振り返る。
全国小学生陸上競技交流大会5年生100mに出場。いきなり8位入賞を果たした。為末さんさえも全国大会出場を果たしていない。現在、三十六年の歴史を持つクラブで、全国大会個人種目でファイナリストになったのは後にも先にも山縣選手のみだそうだ。
みな口を揃えるのが「目立たなかった」。6年生の時、男女それぞれ全国大会のリレーに出場した石田陽奈さんは「目立つタイプではなく、皆の後ろを歩いている。特別目立つタイプではなかったが、走るとガラリと変わる」と言う。藤本会長も「感情を表に出さないタイプ。闘志を内に秘めていた」。一方では、メダルをもらったり優勝するよりも「速いね」と言われるのがうれしかったそうだ。
同クラブでは、今年の広島県小学生陸上競技交流大会混成リレーと5年生100mで優勝。藤本会長は「優勝できたのも先輩の活躍があったから」と話す。山縣選手の3大会目となる五輪に向け「日本人初の100mの決勝戦に立って、どんな景色か見てほしい。(400m)リレーでは、初めて金を取ってほしい」と楽しみにしていた。