教員を辞め、けん玉の魅力を伝え続ける人生を選択
廿日市市でけん玉をしている人で、砂原先生を知らない人はおそらくいないのではないか。「けん玉を通して廿日市市を盛り上げたい」と、けん玉を相棒にイベントや教室の企画運営など積極的に活動してきた”けん玉人”だ。
砂原先生は幼いころ、年上の友だちが遊んでいるけん玉を見様見真似で覚えた。たくさんある遊びの一つに過ぎなかったが、友だちに差をつけようと時折家でこっそり練習。その後は遠のいていたが、教員になり勤めた小学校のけん玉クラブで指導を始めた。
クラブで子どもたちが上達するのを目の当たりにし「負けられない」と、昔の負けん気が蘇った。上手な子が技を披露すると、周りの子どもたちも興味を持つ。けん玉は、学校中のブームになった。
けん玉クラブがテレビ取材やイベントから声を掛けられるようになり、土日も瞬く間に忙しくなった。「事務仕事も増え、教師という立場でありながら子どもたちと過ごす時間がとれない」と悩み、53歳のとき思い切って退職。現在、日本けん玉協会西広島支部長を務め、腕前はけん玉道4段。けん玉をプロデュースしたり、幼稚園、学校、企業などで出張教室を開いたりして、けん玉の魅力を伝え続ける。「けん玉を楽しむと元気になる。それを伝えるのが私の使命」。
教職を辞めたことに後悔はないと言えば嘘になる。でも「あのとき辞めて頑張ってきたから今がある」と目を細める。お金では苦労したが、多くの人とつながることができた。それが財産だ。
「けん玉は、今この瞬間にも世界中で新しい技が生まれている。その国に馴染んだ形で遊ばれるようになる。今後、けん玉がどう発展していくか楽しみだね」。
砂原宏幸 (68)
廿日市市生まれ。株式会社砂原夢企画を設立し、オンラインショップでけん玉を販売。日本けん玉協会西広島支部長。日本けん玉協会2級指導員、けん玉道4段。はつかいち観光親善大使(2008年4月~2010年3月)も勤めた。
これまでご紹介した「西広島のけん玉人」はこちらから