「大切なことは家庭で教わっている」
今週、高学年のクラスに授業に行く機会がありました。教室の前に来ると当番の子どもが、「先生が来られました」と声をかけてクラス全員で起立して迎えてくれました。休み時間と授業のけじめがついており、子どもと私は気持ち良く授業を始めました。運動会の全体練習で、1年生から6年生までがそろって教師の指示や説明を聞く機会があり、その聞く態度が立派でした。多くの人数の中でしかも野外で話を聞くのは、小学生にとっては難しいことです。それでもしつければできます。授業の初めのけじめも話を聞くことも「学習のしつけ」指導の一つですが、その成果が表れていることをうれしく思いました。
学校の教育成果は家庭教育のおかげです。先日、教え子のお母さんと会う機会がありました。卒業して何年か経っているので小学生時代を懐かしく思い出しました。その話の中で、教え子のお母さんは、「わが子の話を聞く態度が悪いので、きっと学校でも先生の話を聞いていないと思い、何度も繰り返し聞く態度を注意しました。」と話されました。わたしは、話をよく聞く子だと出会った時から思っていたので、不思議に思い、重ねて尋ねると、「毎日先生の話を家で私に話させていました。そうすれば話をよく聞くようになると思って。続けるうちに息子の話を聞くのが楽しみになって2人で笑って話すこともありました。」と教えてもらいました。
家庭でのしつけは子どもの教育に直接かかわることがあります。例えば、「お手伝いを子どもに」とよく言われることですが、親から「これを手伝ってほしい。」と言われるのは子どもにとって誇らしいことです。手伝いが終わった後、「助かったよ。」と言われれば、子どもなりに親から一人前と認められていると感じます。これが人の役に立つことの第一歩です。人の役に立つ喜びを味わった子どもは、社会に貢献する人になろうとする考えを持つようになってきます。
ただ、毎日手伝うのは面倒で続かないことがあります。ここでやめてしまえば、それを家族の誰かが受け持つことになります。面倒でやめてしまったけれど、やめたことによって家族に負担をかけていることに気づくはずです。その姿を見て、子どもは考えます。面倒だけど、またやってみようかと。そして、またやり始めます。こうなってくると、そのうち考えて行動するようになります。短時間で要領よくやる方法や手伝う時間帯を変えて自分の都合にあったやり方で持続できるように考えます。つまり、工夫することや見通しを持って考えること、そして、決めたことを修正することを学びます。
朝、学級園の草取りをする子どもがいます。栽培委員会で当番を決めてやっているようです。いつも苦にせず楽しくやっています。家庭での手伝いの話をしたら、家では食事の食器洗いをしている子やお風呂掃除をしている子でした。学校を花で美しくし、人の役に立つことをする学校教育ではあるのですが、大切なことは家庭で教わっているのだと思いました。