vol.10 保育園は育ちあい
保育園に入園して2カ月。
担任の先生と個人懇談があった。
まずは保育園での様子を教えてもらう。給食の時間には自分でエプロンを持ってきて席に座り、スプーンを持って食べられていること。お昼寝の時間は横になって足をさすってあげると割とすぐに寝つくこと。
だいぶ慣れて来たとは思っていたけれど、思っていた以上に1日の流れが分かっているようだった。
私は先生に、ずっと心配していた事を聞いてみた。
「もし娘の発達が遅れていったら、下の学年のクラスに入ったり、保育園にいることが難しくなったりすることもありますか…?」
今後発達が遅れていって、みんなと一緒のことをするのが難しくなったときに、保育園に通い続けられるのかが不安だった。
「それはないですよ、お母さん!」
先生はかぶりを振った。
「娘(の名前)ちゃんの成長に合わせて介助するし、みんなと同じようにしないといけないことは全くないですから。階段を上るとき、娘ちゃんがゆっくりだと先に上った子たちが『娘ちゃーん、がんばれーがんばれー』ってみんなで応援してくれるんですよ。
そうやって育ちあうのが保育園ですから。大丈夫ですよ。お母さん。」
私は泣きそうになりながら更に聞いた。
「でも、病気もあるし、発達が遅れてる状態で、娘を保育園に預けて仕事をしてていいのか悩みます。一緒にいてあげなくていいのか…。」
先生は優しい笑顔で答えてくれた。
「発達がゆっくりな子こそ、療育センターに行って相談したら保育園に入れた方がいいって言われますよ。もちろんお母さんとの時間は大切だけど、集団の中で成長することがたくさんあります。
それに娘ちゃんはとってもかわいいけれど、お母さんが1日家で見るのは大変ですよね。お母さんが自分の時間を持つことも大事なことです。保育園でしっかり見させていただきますから、安心して任せてください。」
思ってもいない程あたたかく心強い言葉をもらって、私は前向きに保育園に送り出せるようになった。
※このコラムは、西広島タイムス紙面に2019年から連載した内容を加筆・修正して掲載しています。
【 コラム作者 】
広島市在住の3児の母。
末娘が2歳のとき「結節性硬化症」という難病と診断される。
子どもの病気や障害と向き合いながら、子育てや仕事に毎日奮闘中。