
サンフレここだけ話 vol.16
みなさん、こんにちは。
サンフレッチェ広島アスレティックトレーナーの木本実です。
今回は「小学生のときに身につけておきたい運動能力」について紹介します。
小学生のときに身につけておきたい運動能力~運動万能で健康な身体になろう~

突然ですが、スポーツ庁の「スポーツ基本計画」をご存知でしょうか?国が定めたもので、「スポーツとは国民を中心にしたものであり、スポーツの主役は国民である」という大前提をもとに行われている活動です。
その方向性が示すものに
① スポーツで人生が変わる
② スポーツで社会を変える
③ スポーツで世界と繋がる
④ スポーツで未来を創る
という4つの観点から取り組まれています。
なぜ今、このような活動が進められるようになって来ているのでしょうか?
その答えの1つとして、子どもたちの身体活動量の低下や体力・運動能力の二極化、また、ロコモティブシンドロームや、若年性の成人病、生活習慣病の増加などが挙げられます。スポーツ庁の全国調査において、小学5年生で一日に60分以上運動している割合は年々減少し、一週間に全く運動しない子どもたちが増加傾向にあります。
しかし、運動、遊びなどの身体を動かすことは、特に発育発達期の子どもたちにとって、運動能力を発達させるだけではなく、非認知能力や認知能力などの脳の発達にも貢献していると考えられるようになってきています。

「鉄は熱いうちに打て」とよく言われますが、これは「物事にはすべて時機、好機があり、それを逃してはならない」という意味です。しかし、幼い頃から1つの物事に打ち込むことではありません(例えば、未就学児の頃からずっとサッカーだけで他のスポーツの経験がないこと)。ずっと続けてきた動き、種目はできるけど、その他のことはあまりうまくできないという子どもをよく見かけます。
そうではなくて、歩く、走る、投げる、つかむ、ものを使って打ち返す、泳ぐなどの人間が行うことのできるおよそすべての動きやパターンを、幼い頃から遊びの中で経験し、楽しみながら獲得することによって、好きな種目をより良くプレーできたり、病気になりにくい健康な身体を手に入れたりすることができます。要は基礎体力と基本的な運動パターンの向上です。
人は生まれてから二足で歩行するまでのパターンを、教えられて獲得する人はいません。同じように、走るなどの動きもトライ&エラーで獲得していくものです。人が活動するときの動きは、いくつかの動作が組み合わされています。その基本的な動きのパターンをしっかりとうまく、効率的に行うことがスポーツや日常生活の質をあげることにつながります。そのとき大切なのが身体の姿勢です。
人の身体は、理想的に動いたとき一番効率が良くて、強く、速く動くようにデザインされています。
しかしながら、その理想通りに動ける人はかなり少数です。生活していく中で、その環境になじむために姿勢やよく使う筋肉が限定され、癖が形成されていきます(例えば、いつもカバンは右肩で持つとか、立っているときはいつも左脚に体重がかかっているとか…。右利き、左利きなども癖ですね)。
低年齢の頃から、いろいろな目的の運動、道具を使って細かな調整が必要な動きなど、さまざまな動作、パターン、道具、競争、助け合いなどを繰り返すことによって、多様なパターンを獲得し、それらが効率化されて脳にインプリントされていく。それがいい姿勢につながります。
スポーツに限らず、人の身体がいつも理想に近い状態に保たれれば、それぞれの生産性も上がるし、健康的で快活、幸せな生活を送ることができると考えます。
小学1年~6年までの運動とは?

小学1年生と6年生の子どもを競争させたり、一緒に何かの試合をさせたりしたらどうなるでしょうか?見なくてもおよその想像はつきますよね?
人はそれぞれ発育・発達のスピードが違いますし、感性、感覚、集中力とその持続時間も異なります。学年を完全に区切って1、2年生はこの動き、2、3年生は…、と分けることはできません。
ただ、低年齢ではいろいろな環境や動きをより多く経験させ、勝負よりも経験を重視します。例えば、同じ運動でも晴れの日も雨の日も行うことによって、「雨の日は、今までできていたことがもしかしたらうまくできないかも?」と感じます。これって感覚の引き出しが増えますよね?
1つのボールでできたら、同じことや似たようなことを2つのボールでするようレベルアップしてみます。そうして、常に脳に違う刺激を入れ、「どうすれば?」と考えながら解決することを覚えます。これが脳にとっておいしいものとなり、身体の反応、動きもレベルアップします。

こうして蓄積した引き出しをベースとして、高学年になるとその技術を早く、強く、正確にできるよう刺激を変化させることがポイントになります。新しいことにチャレンジする、そしてそれをクリアする…。今までできなかったことができたときはうれしいし、楽しいですね。これこそがスポーツの根幹にあるものです。
そして、仲間と共に助け合いながら失敗を繰り返し、試行錯誤し問題を解決していく。これも子どもたちの財産になり、生きていくベースとなっていくのです。
勝利のみを目指すのではなく、その目的を達成するために何をすべきで、何ができていないのかを知ること、その課題に向かって100%努力すること、助け合うこと。この経験が、その先の新たな問題や困難な事に直面したときに解決する基礎となります。この素晴らしい経験を、広島で生まれ育つ子供たち全てに提供したいと思います。
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木本実
1967年生まれ、京都市出身。2003年より広島のトレーナー。2012年~15年京都サンガトレーナー。2016年~現在 広島に戻る。
サッカーだけでなく、アメリカンフットボール、ラグビー、バスケットボール、野球、バレーボール、テニス、陸上(短距離)、ラクロス、ダンサーなどの指導、治療も行う怪我を予防し、より良く、より楽しくスポーツを楽しんでほしいと考え指導に携わっています。
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