vol. 28 ドキドキの手術入院。
◇2017年 10月
3歳の娘の手術を受ける為、広大病院小児科病棟に入院。病室は6人部屋で、入院は2週間程度の予定だった。
薬でコントロールできない難治性てんかん発作を緩和するための、VNS手術(迷走神経刺激術)を受ける。
迷走神経刺激療法とは?
難治てんかんに対する補助療法の一つで、頸部の迷走神経に電気刺激を与え、てんかん発作を減少させる治療です。また発作の前兆が生じた際に患者さんの判断で刺激を加えることで、その後実際の発作へと進展するのを抑制できる場合もあります。
手術は左の頸部に走っている迷走神経に電極を巻き付け、リード線を皮下に通し、左の胸部に直径5センチ弱のパルスジェネレータという刺激発生装置を埋め込みます。手術は全身麻酔下で、概ね数時間で終了します。現在は術後最低1〜2週間の入院が必要としています。頸部と胸部の2か所に小さな切開部の傷跡が残りますが、時間とともに目立たなくなります。術後6年前後で電池の寿命が尽きますので、パルスジェネレーターを交換するための再手術を必要とします。
(てんかん情報センターHPより)
3歳だけど知的な年齢は1歳半くらいの娘…。入院直後から、
「だっこ!だっこ!くちゅ(靴)!くちゅ!さんぽ!さんぽ!」
と、やっと覚えた単語を並べて歩きたがり、当然ながら病室で1日中静かにじっとしてくれるわけもない。
大部屋なので放置するわけにもいかず、しかも、「さんぽ!さんぽ!」と言うくせに本人は一歩も歩かないので、私がひたすら抱っこして病棟内を歩きまわった。
病棟にはプレイルームがあるけれど、入院から3日は感染予防のため入室禁止。抵抗力の下がっている子どもを守るために大切なこと。
入院して3日間はたまに診察や検査が入るだけだったので本当にやることがなく、ひたすらだっこして昼夜問わず消灯後まで病棟中を歩き回った…。
そんな、抱っこしすぎて腕もパンパンで心も折れそうだった手術の前の日、相変わらず歩き回っていると、お母さん友だち3人が病院にお見舞いに来てくれた。
病院の屋上で差し入れに頂いた甘いものを食べながら大笑いしてしゃべったら、すっかりリフレッシュ。その夜の「だっこだっこ」にも笑顔で付き合えた。こんなにお見舞いをありがたいと思ったことはないほどありがたかった。
2週間の入院中、私は24時間付き添いをしたので、小学生の上の子たち2人の面倒を家族に見てもらう必要があった。
毎日のごはんの準備や、曜日ごとに違う2人の習いごとの送迎、学校行事の参加など、私の両親を巻き込んで担当を割り振り、綿密にスケジュールを組んで家族にお願いしていた。
こうして、友人や家族のおかげで、私は家事をする必要もなく娘と2人のんびり(?)入院生活を過ごし、いよいよ手術の日を迎える。
※このコラムは、西広島タイムス紙面に2019年から連載した内容を加筆・修正して掲載しています。
【 コラム作者 】
広島市在住の3児の母。
末娘が2歳のとき「結節性硬化症」という難病と診断される。
子どもの病気や障害と向き合いながら、子育てや仕事に毎日奮闘中。