vol.19 保育園ミニ発表会
◇2016年11月
保育園の2歳児クラスの発表会は「3匹のこぶた」の劇だった。
こぶたの3兄弟が狼から逃れるため、長男こぶたはわらの家、次男こぶたは木の家、末っ子こぶたは丈夫なレンガの家を建てる物語を、ミュージカル風にアレンジしたもの。
娘はレンガの家を建てる末っ子のこぶた役。同じ役の子が3〜4人いて、一緒に台詞を言う形。
先生に連れられて舞台袖に入ってきた娘は、おでこに手作りのこぶたのお面を付けてもらって不安そうに座っていた。
同じクラスの子どもたちは、各々の出番で元気に登場して、歌ったり大きな声で台詞を言ったりして、場面が進んでいく…。が、末っ子こぶたがレンガの家を作るのは劇の終盤。娘の出番はだいぶ先だけど、じっと待っているのが難しい娘。動きたいのを先生に止められてだんだん泣き顔になった娘は、客席の私を見つけるとフラフラと私のところまで来てしまった。
実は1ヶ月前にあった運動会は、最初から最後まで私から離れず泣いてしまって全く参加できなかった。
(発表会も難しいかな・・・。まぁしょうがないか。)
私は半分あきらめて娘を膝に乗せていた。
劇は進んでわらの家も木の家も狼にやられ、いよいよ末っ子こぶたの出番!
末っ子こぶたたち(娘以外)が元気登場して、「頭・肩・ひざ・ポン!」のお歌が始まると、なんと娘が自ら前へ!舞台の前に立って、お歌に合わせて踊り(?)を披露し、曲が終わるとまた私の膝へ。
そして家を作る場面で再び舞台に上がり、見事にレンガを家にくっつけ、場面が終わると再び私の膝へ(笑)。
劇が無事に終了し、最後の「やまの音楽家」のお歌で、娘は再び前に出て上手に(?)鈴を鳴らした。
練習で何度もやったことを覚えていたのだろう。分かるところだけでも自分から参加しに行けたことが大きな成長だった。
他の保護者の方には、流れを乱して変に注目を集めてしまい申し訳ないと思いながらも、私から離れず泣いていた運動会から考えたらすごい進歩で嬉しかった。
先生からも「たくさん参加できたね!上手におうちも作ったね!すごいね!」と誉めていただいた。
この頃は、こうして毎年少しずつでも成長していってくれたらと願っていたけれど、翌年の発表会は先生に寄りかかってぼーっと舞台にいるのがやっと、という状態になっていたのだけれど、それはまた先のお話。
※このコラムは、西広島タイムス紙面に2019年から連載した内容を加筆・修正して掲載しています。
【 コラム作者 】
広島市在住の3児の母。
末娘が2歳のとき「結節性硬化症」という難病と診断される。
子どもの病気や障害と向き合いながら、子育てや仕事に毎日奮闘中。