〈紙面連動〉
1月3日まで平和大通りを中心に開催されている「ひろしまドリミネーション2025」。ドリミネーションを見たことはあっても、誰があれを作っているのかであったり、どういった経緯で作られているのかはなかなか知る機会がありませんよね。フリーペーパーの12月号でご紹介した、新作、みどころ、制作の裏側などを再編集し掲載します。
今年の新作・みどころ
今年の新作は主に3種。木をランタンで飾った幻想的な「マザーウッド」。通常より大きな電球を使用し、被爆80年の慰霊の想いを表現した「ピースオブツリー」。遊園地エリアに加わった、鍵盤を踏むことで音がなるステップピアノ。



運営の方に聞いた「みどころ」の一つは、子供に人気なプロジェクションマッピングで喋る木・ウッドマン。今年は例年よりパワーアップし、話題となった曲や近年の名曲も歌っています。

また、ドリミネーションの「顔」とも言える輝く城の「シャイニングキャッスル」は、今年ドリミネーション限定カラーのLED「シャイニングスター」を使っています。
ほかのイベントでは見られない色で、遠くからはゴールド、近くからはピンクゴールドに見えるという上品な色です。また今年は、このシャイニングスターを大人向けエリアの樹木に多数使用しています。ほかのイベントでは見られない色なので、ぜひ注目して歩いてみてください。

ほかにも週末を中心に、毎年人気の「スイーツカフェ」が今年も登場し、ホットワインや塩バターサンドなどの軽食が楽しめます。アマゾンギフト券が抽選でもらえるスタンプラリーや、インスタグラム上でのフォトコンテストもあるので、それを楽しみにエリアを回るのもいいかも。
物語の裏側
ドリミネーションは、近隣の商店街組合や市などで構成される「ひろしまライトアップ事業実行委員会」が主催しています。この事業を受託し、企画、制作、運営を行っているのが㈱フジヤです。京都・東京に本社が、全国に支店がある総合ディスプレイ企業です。
同社によると、ドリミネーションは当初から「おとぎの国」をコンセプトに制作していました。特に近年では、AからLまでエリアを分け、それぞれが「星の子どりみ」というキャラクターを中心とした1冊の絵本になるよう世界観を構築しています。この「どりみ」は、動くイルミネーションとして、毎年どこかのエリアで歌ったりクイズを出したりしています。
どりみや物語について詳しく知るなら→公式HP(みどころ)

以前は、恐竜・城・バナナ・船などの具体的なモチーフのある子供向けの装飾がメインで、主なターゲットも子供・家族連れでしたが、昨年から大人が楽しめるエリアづくりが本格化しています。
大人・子供向けのエリアをわかりやすく分け、子供向けのエリアには従来の姫・船などのオブジェを置き、大人向けのエリアには落ち着いたシャンパンカラーのライトを多用。特に今年は、子供向けエリアの樹木を青系、大人向けエリアの樹木をゴールド系のイルミネーションで飾っているので、歩いているだけで変化が感じられるはず。

2002年から始まった、広島の冬の風物詩といえるドリミネーションですが、制作には苦労も多いそうです。
取材にうかがった際に何度も言われていたのが「限られた予算と資材が前提の事業」であるということ。アンケートなどで「こうしてほしい」という市民の声は色々と届いているものの、提案の実現は予算上難しいものが多いようです。
屋外と立地のハードルもあります。今年は秋が短かった影響で、12月初旬の段階で平和大通りの木にまだ葉が茂っており、装飾をしても隠れてしまうことも。さらに「自転車専用道路」の工事に伴うバリケードや、専用道路自体のせいで、装飾を運ぶトラックが横付けできなかったりもしました。平和大通りでは、倒木を防ぐため木の伐採が進んでいますが、それはつまり装飾可能な樹木が減るということでもあります。
また、流川などの繁華街近くにある、という立地も様々な人が足を運びやすいメリットがある一方、トラブル防止にも配慮する必要があります。屋外への長期間設置は劣化も促進しますし、予算上「使えるものは再利用」というスタイルを取っていますが、「来年はこれが使えるか分からない」ということが度々起こるそう。
装飾可能なエリアと樹木の減少。予算上の厳しさ。きらびやかなイルミネーションですが、裏側には課題もあるようです。
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