vol.27 手術10日前の運動会!
◇2017年 10月
娘の手術を10日後に控える中、保育園の運動会があった。娘は3歳児クラス(年少さん)。
私は楽しみにしつつも、不安もあった。明らかに他の子より発達がゆっくりな娘。だんだんと差は開く一方で、行事のときにはついつい比べてしまって辛く感じることがあったからだ。
ー(他の子と比べるんじゃなくて、娘ががんばる姿をしっかり応援しよう)
私は自分に言い聞かせていた。
運動会当日。
開会前、保護者席から娘を見ると、娘はいつもと違う雰囲気の中で先生にくっついて不安そうに体操座りをしていた。開会式でも、ラジオ体操なんて全然分からないし真似する意思もなく、やっぱり先生にくっついてじっとしていた。
最初の競技はかけっこ。
年少さんはごく短い直線コースを走る。昨年の運動会は私から離れなかったので仕方なくだっこして私が走った。
ー(今年は機嫌が良かったら先生と手をつないで走れるかなぁ)
私はドキドキしながら出番を待った。
娘の順番。
「よーい、ドン!」
他の子たちが一斉にスタート!と、同時に先生に促されてトテトテと走り出す娘。最初は横についていた先生も、少しずつ離れて。
トテトテトテトテ…。なんと娘は最後まで1人で走り切った!会場からはあたたかい拍手。もちろんぶっちぎりの最下位だったけど、先生に手を引かれることもなく1人でゴールまで走れるなんて‼
その後の競技も、先生に補助されてマットででんぐり返りをしたり、ぴょこぴょこ体を揺らしてダンスに参加したり。思った以上に参加できていて、私は感動しっぱなしだった。
こうして、運動会前の私の不安は杞憂に終わった。
そこには確実に成長している娘の姿があって、娘も参加できるように一生懸命考えて支えてくださっている先生方がいて、他の子と比べないようがんばる必要もなく、嬉し涙がいっぱいの良い1日だった。
無事に運動会が終わり、いよいよ初めての手術に向けて入院準備を始める。
※このコラムは、西広島タイムス紙面に2019年から連載した内容を加筆・修正して掲載しています。
【 コラム作者 】
広島市在住の3児の母。
末娘が2歳のとき「結節性硬化症」という難病と診断される。
子どもの病気や障害と向き合いながら、子育てや仕事に毎日奮闘中。