「チャレンジ」
目標に向かってひたむきに
学校で学んでいると、計算がもっと速くできるようになりたい、絵が上手になりたいと子どもは思います。そんな思いはだれしも持つのですが、その努力を途中でやめてしまうことがあります。
運動会の練習が始まった先週、1年生の女の子が登校してすぐにお手紙ノートを開いて持ってきました。お手紙ノートの中の日記を読んでほしいというのです。そこには、たくさん書けたという喜びが感じられました。
きょう、たいいくがありました。
にねんせいとごうどうたいいくは、はじめてでした。
なのでどきどきしました。
にねんせいはじょうずでした。
いちねんせいたちは、にねんせいよりももうちょっとがんばりたいです。
それから、うんどうかいでだんすをにねんせいといっしょにじょうずにおどって、はくしゅをいっぱいおきゃくさんにしてもらいたいです。
1年生の日記指導(作文指導)は、「はじめ」「なか」「まとめ」の順に、話題を提示し、その話題の内容を書き、自分の思いをまとめることです。この日記でいえば、3文目まで書けていれば、良く書けているということです。これから、だんだんと「なか」の話題の内容がふくらんで見たことや話したことが書けるようになります。この日記には3文目の「まとめ」の「どきどきしました」のあとに自分の思いが付け加えられています。「なか」のダンスの内容を書くよりも、ダンスへの思いの方が強いことがうかがえます。日記指導を子どもの心に寄り添って考えてみると、思いの強さが目標に向かってやり抜く力になるのだと思います。思いが強ければ、どうすればよいか目標を立て、思考、判断、表現(行動)ができるのではと思います。この女の子は、2年生よりも劣っていることを自覚し、ダンスが上手になり、お客さんに拍手をもらうという目標を持って、練習を重ねて行動するはずです。
元気よく遊んでいた子どもが休み時間の途中に教室に戻ることがあります。野球をやっていて友だちに下手と言われ、やる気がなくなったようです。下手と言う友だちのことよりも途中で戻る子どもが気にかかります。こんな子は、図工で作品を作っていても途中で投げ出してしまいます。投げ出したのは、○○くんが邪魔をした、道具を忘れたなど人やもののせいにします。
初めは、「野球が上手になりたい」と強い思いはあっても、思いだけではうまくいかず、何らかの理由をつけてやめてしまいます。こんな子どもに負けるな、がんばろうと言ってもがんばれません。目標を考えさせて、方法を考えて判断し、行動させること、つまり、自ら学ぶ力をつけてやることが必要です。いきなり野球が上手になることはできないので、キャッチボールで相手の胸に投げるというような目に見えて分かる目標を一緒に考え、自分で決めたという自覚を持たせます。そして、練習でうまくいかなければ相談に乗り、うまくいけば評価してやります。
日記を見せてくれた1年生は自ら目標を立てたので、きっと目標に向かって立ち向かいチャレンジすることと思います。途中で投げ出してしまう自ら学ぶ力のついていない子どもにも、この運動会で目標を立て、チャレンジしてほしいと願っています。そのためには、人のせいにしてやめてしまうのを見抜くこと、そのうえで、子どもの思いに寄り添い、具体的に何をどうすればよいか、思考・判断・行動するところまで一緒に考え、まずは一歩踏み出させることを家庭と学校でやっていきましょう。